理事長挨拶

理事長 古川 敬康

Furukawa,Takayasu

北星学園は、1887(明治20)年アメリカ人女性宣教師サラ・C・スミスによって新地たる札幌に創設されました。ニューヨーク州の師範学校に学び、当時の女性としては稀有な独仏への留学経験を持っていたスミスの教育は、女子を後回しにしていた明治期札幌の教育界へ革新的で清新な風を吹き込みました。 スミスが教育の理念として掲げたのは、実生活において有用な知識を授け義務や責任を果たすことができるようにすること、そしてキリスト教精神による人格を形成することでした。このスミスの教育姿勢に共感した新渡戸稲造ら札幌農学校(現北海道大学)の教師陣は、出講などを通して教育支援を惜まず、スミスが主導して展開した教育は当時の日本の女子教育界のなかでも高く評価されました。スミスの掲げた教育の理念は、その後も一貫して建学の精神として今日まで引き継がれています。 当初、スミス塾あるいはスミス女学校と呼ばれていた学校は、やがて新渡戸稲造らの奨めにより北星女学校と改名し、スミスの後継宣教師たちと日本人教員たちの献身的な働きのもとに発展しました。 しかし、1930年代後半以降悪化した国際関係、とりわけアジア・太平洋戦争により、学園はその根幹をゆさぶられるほどのいくつもの試練にさらされましたが、関係者の必死の努力によってそれらを乗り越えました。 戦後復興期に起きた女子の高等教育を求める社会の声へは、建学の精神のもと、1951年女子短期大学の設置をもって応え、やがて同様の姿勢で1962年には男女共学の大学と男子高校(のちに共学)、1965年には男女共学の余市高校の増設が行われました。学園創立以来約130年の現在、中学から大学院に至るまで約6,000名の生徒・学生を擁する総合学園に発展しています。 各校の特色については、それぞれのホームページに記載されていますが、各校は建学の精神の他にも北星教育に携る者としての共通姿勢を確認しています。そのひとつが『北星学園平和宣言』です。 これは戦後50年を迎えた1995(平成7)年、「平和を作りだす人たちは幸いである」(マタイによる福音書5章9節)という聖書の言葉に基づいて新しい時代の平和を作る学園として歩むことを宣言した文書です。 国内はもとより、国際社会において相互理解と平和建設に貢献できる有為な人物を世に出すべく、学園全体で努めております。 札幌市の樹として指定されているライラック。これは、報告のため米国に一時帰国したスミスが故郷から携えて来た苗木から全市に広まったものです。学園内各校はその季節には優しい色合いの花とその芳香に包まれます。学園名に冠されていますように、北の大地にあって「星のように輝く」(フィリピの信徒への手紙2章15節)学園でありたいとの祈りをもって歩んでおりますので、皆様方のご支援、ご鞭撻をよろしくお願い致します。

経歴

1974年3月 中央大学法学部法律学科卒業(法学士)
1984年3月 西南学院大学神学部神学科卒業(神学士)
1985年3月 西南学院大学神学部神学専攻科修了
1985年4月 川崎バプテスト教会牧師(至 1988年3月)
1991年9月 Severns-Valley Baptist Church日本人牧師 (至 1992年8月)
1994年2月 札幌バプテスト教会牧師(至 2003年3月)
1994年5月 The Southern Baptist Theological Seminary博士課程修了(哲学博士)
1998年4月 学校法人北星学園女子中学校・女子高等学校PTA会長(至 2000年3月)
1999年4月 日本バプテスト連盟常任理事(至 2001年3月)
2001年4月 日本バプテスト連盟総務委員長(至 2003年3月)
2001年4月 北海道バプテスト連合会長(至 2003年3月)
2001年4月 札幌キリスト教連合会委員長(至 2003年3月)
2003年4月 西南女学院短期大学保育科助教授(至 2006年4月)
2003年4月 西南女学院短期大学宗教主事(至 2007年4月)
2003年4月 西南女学院学院宗教主任 (至 2020年3月)
2003年4月 日本キリスト教文化学会理事 (至 2007年3月)
2004年4月 西南女学院キリスト教センター長 (至 2020年3月)
2004年4月 社会福祉法人北九州ナオミ福祉会理事 (至 2020年3月)
2006年4月 西南女学院大学短期大学部教授 (至 2008年3月)
2007年4月 西南学院大学・大学短期大学部宗教主事 (至 2020年3月)
2008年4月 日本キリスト教文化学会監事(至 2009年3月)
2008年4月 西南女学院大学教授 (至 2020年3月)

著書

1994年5月 A Model for the Use of Metaphor in Preaching, UMI(単著)
2014年4月 『キリスト教概論:新たなキリスト教の架け橋』、勁草書房(単著)

論文

2004年5月 「メタファー(隠喩)としての『神は愛である』:キリスト教教育の視点から」 『キリスト教教育論集』第12号
2006年5月 「メタファー(隠喩)としての『永遠の命を得ている』:キリスト教教育の視点から」 『キリスト教教育論集』第13号
2005年1月 「社会福祉に対する神学からの提言としての一考察:パウロにおける『キリストの奴隷』のメタファーとミメーシスの決定性」 『キリスト教社会福祉学研究』第37号
2007年1月 「実践的社会福祉の神学的方法論の一考察」 『キリスト教社会福祉学研究』第39号
2007年7月 「パウロにおけるキリストの死に関する用語法の解明の一試論」 『新約学研究』第35号
2011年3月 「ヨハネ福音書5章29節の『悪を行った者』にも25節の希望はあるか:5章25節のヨハネ的福音と29節のユダヤ的終末論との関係」 『西南女学院大学紀要』Vol.15
2016年3月 「パウロにおける主の晩餐は贖罪論的か:十字架の視点からの批判的検討」 『西南女学院大学紀要』Vol.20
2017年3月 「パウロにおける十字架のメタファーとしての意義の再考:コリントの信徒への手紙一1章及び2章」 『西南女学院大学紀要』Vol.21
2018年3月 「説教における弁証法的メタファー:不一致と類似性」 『西南女学院大学紀要』Vol.22
2019年3月 「中動相の理解が聖書解釈にもたらす意義の一考察」 『西南女学院大学紀要』Vol.23
2019年10月 「キリスト讃歌にパウロが加筆した『十字架の死』の意味に関する一考察:フィリピ書2章6-11節」 青野太潮先生献呈論文集『イエスから初期キリスト教へ:新約思想とその展開』、リトン
その他多数

所属教会

日本バプテスト小倉キリスト教会