理事長挨拶

北星学園130周年にあたって

理事長 大山 綱夫

OYAMA,Tsunao

北星学園は、ことし2017(平成29)年、創立130周年を迎えました。1887(明治20)年1月15日、アメリカ人女性宣教師サラ・C・スミスは、人口1万5千人にも満たない、雪の札幌に、7名の女子生徒のために女学校を創設しました。これが北星学園の始まりです。校地は北1条西6丁目の南西の角地、校舎は北海道庁から借り受けた改造厩舎。小さな出発でしたが、このスミス女学校(スミス塾とも呼ばれました)は、札幌で後回しにされていた女子教育のパイオニアとなり、札幌はもちろん北海道の教育界に清新な風を吹き込みました。スミスの志は、当時の北海道の指導者や札幌農学校(現北海道大学)の人々に温かく迎えられ、教育内容も充実し、生徒数は年々増加しました。スミス女学校は、その後新渡戸稲造らのアドヴァイスもあり、北星女学校と改名し、スミスを後継した女性宣教師達の献身的働きも加わり、教育水準は外部からも高く評価されました。
しかし、北星女学校はアメリカ系のミッションスクールであったため、日米関係の緊張や国粋感情が高まった時期には、官公立の学校や他の私学には見られない特別な困難に遭遇しました。特にアジア・太平洋戦争期には、宣教師の本国帰還・聖書科教師の逮捕・校舎の強制借り上げ等、学校消滅さえ予想される事態に見舞われました。それでもスミスの後継者たちは、力を尽くして苦しい時期を乗り越えました。

戦後1947(昭和22)年、北星女学校は北星学園と改称し、日本国憲法と(旧)教育基本法のもと、新しい時代の要請に応え、高等教育部門や共学部門をも開設しました。現在では、中学校から大学院まで7つの学校を数え、4つの校地で、総数約6,000名の生徒・学生・院生が学んでいます。
最も歴史の長い北星学園女子中学・高等学校では高校レベルに普通科のほか英語科と音楽科を置き、宣教師達が大事にした特色を生かした教育を展開しています。生徒それぞれの特性を生かすという進路指導のもと、卒業生は北星学園大学をはじめ、文系から理系さらには芸術系等さまざまな上級学校へ進学しています。
1962年に発足した男女共学4年制の北星学園大学は、現在では文学部・経済学部・社会福祉学部と大学院、および短期大学部(前身は1951年女子の高等教育への向学心と社会進出のニーズに応えて誕生した北星学園女子短期大学。2002年に共学化し短期大学部と改称)を包摂する大学として、幅広く豊かな教育プログラムを提供しています。1965年に米国ルイス&クラーク大学との国際交流提携を結んで以来、現在では欧米に12大学、アジアに4大学の提携校を持ち、留学制度を利用し海外で学ぶ者も多く、またキャンパスには海外提携校からの留学生が学ぶ国際色豊かな大学です。
北星学園大学附属高等学校(大学が発足した同じ年、男子高校として誕生しましたが、その後共学化し附属高校となりました)は、創立以来、生徒と教師が共に学び育つという「共育」のモットーのもと、勉学・クラブ活動・ボランティア活動等の熱心さで知られています。高大連携のプログラムも進められ、卒業生の最も多くは北星学園大学に進学します。
北星学園余市高等学校は1965年、北星の中では最も新しい学校として誕生しました。キャンパスは余市町にありますが、生徒は全国から集います。ほとんどの生徒は、寮・下宿から通学し、学びや生活のやり直しを目指しています。教職員は、生徒達の模索や努力を支える姿勢で熱心に教育に当たっています。指定校も多く、卒業生は大学をはじめ様々な進路を選んでいます。
北星学園がモットーとしている「世にあって星のように輝く」(新約聖書中の「フィリピの信徒への手紙」2章15節)は、学園で学ぶ者たちへの期待のことばです。その期待に応えて、卒業生が道内はもちろん、全国でまた海外で活躍していることは学園の誇りです。学園内各校の教育プログラムや実践は、各校案内書やホームページに詳しく載っていますが、是非各校キャンパスを訪ねて下さい。お待ちしています。



創立130周年記念ロゴマーク

北星学園創立130周年を記念してロゴマークを作成しました。 創立者スミスが初めて札幌に持ち込み、「札幌市の木」にもなっている「ライラック」と「創立130周年」をイメージして作成しました。 北星学園が擁する各学校の学生・生徒たちが巣立った後、深く大地に根付き、美しい花を咲かせ、星のように輝く人になってほしい。 今も昔も、そして未来も変わらない願いを表現しています。




記念聖句

記念聖句「Shine Like Stars-世にあって星のように輝き-」

記念聖句は「北星」の校名の由来となった聖書の一節(フィリピの信徒への手紙第2章15節)です。新渡戸稲造が薦め、学園創立者スミスがたいへん喜んだというように、光を掲げることを目指す本学園の教育が校名の如く、名実共に神の豊かな祝福の中で進められていければ、という願いが込められています。





記念行事

記念式典

記念講演会


柏木哲夫氏

<柏木 哲夫 氏 略歴>

淀川キリスト教病院理事長
淀川キリスト教病院名誉ホスピス長
大阪大学名誉教授
ホスピス財団理事長

1965年大阪大学医学部卒業。同大学精神神経科に3年間勤務し、主に心身医学の臨床と研究に従事。その後3年間、ワシントン大学に留学し、アメリカ精神医学の研修を積む。 1972年帰国し、淀川キリスト教病院に精神神経科を開設。翌年日本で初めてのホスピスプログラムをスタート。その後、同病院にて内科医としての研修を受け、1984年にホスピス開設。副院長、ホスピス長を経て、1993年大阪大学人間科学部教授就任(人間行動学講座)。淀川キリスト教病院名誉ホスピス長。大阪大学定年退官後2004年4月より金城学院大学学長。2007年4月より金城学院学院長を兼務。2013年9月より淀川キリスト教病院理事長。 1994年日米医学功労賞、1998年朝日社会福祉賞、2004年保健文化賞受賞。

<主な著書>
『心をいやす55のメッセージ』(いのちのことば社)、『癒しのユーモア』(三輪書店)、『ベッドサイドのユーモア学』(メディカ出版)、『定本ホスピス・緩和ケア』(青海社)、『いのちに寄り添う。』(KKベストセラーズ)、『「死にざま」こそ人生』(朝日新書)、『いのちへのまなざし』(いのちのことば社)、など。

夕食会

北星学園のあゆみ

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